「この価格で本当にいいのかな」「安すぎるかな、高すぎるかな」
副業や起業で最初のサービスを作ったとき、多くの人が価格設定のところで手が止まります。
相場を調べてみても、同じようなサービスでも価格がバラバラで参考にならない。
自分のスキルに自信がないから安くしたいけど、安すぎると続かない。
そんな板挟みの状態になっていませんか?
いくらに設定すればいいのかまったくわからない。
安すぎても高すぎてもダメな気がして、決められない…。
価格設定に正解はありませんが、考え方には順番があります。
この記事では、価格を決めるときに使える3つの視点を順番にお伝えします。
3つを組み合わせることで、なんとなくではなく根拠のある価格が見えてきます。
価格が決まると、サービスを提示するときの自信も変わります。
価格設定はなぜ難しいのか
まず、価格設定が難しく感じる理由を整理しておきましょう。
価格は、商品の価値を数字で表すものです。
でも、自分のサービスや知識の価値を客観的に測るのは、特に始めたばかりの時期には難しいものです。
自分では「当たり前にできること」を提供しているため、その価値を過小評価してしまう傾向があります。
また、価格を高く設定すると「申し訳ない」「断られるのが怖い」という心理的ハードルが生まれます。
その結果、自分の感覚や不安に引っ張られて、低すぎる価格を設定してしまうというパターンに陥りやすくなります。
価格設定は、スキルの問題だけでなく、自己評価の問題でもあります。
コストから考える

最初の視点は「コスト」です。
提供するために自分がかけているコストを把握することが、価格の下限を決める基準になります。
時間コストを計算する
サービスを提供するのにかかる時間を書き出してみましょう。
実際に作業する時間だけでなく、準備・打ち合わせ・修正対応・やりとりの時間もすべて含めます。
たとえば、ライティング1記事を受けるとして、リサーチに1時間・執筆に2時間・修正対応に30分かかるなら合計3.5時間です。
自分が『1時間あたりいくら稼ぎたいか』という希望時給をかけると、最低限必要な金額が見えてきます。
時給1,500円なら5,250円、時給2,000円なら7,000円が下限の目安です。
ランニングコストも忘れずに
サービス提供に必要なソフトウェア・ツール・機材・通信費なども、広い意味でのコストです。
月々の固定費を案件数で割って、1案件あたりのコスト負担を把握しておきましょう。
これを下回る価格では、働けば働くほど損をするという状況になります。
「時間単価」を意識する習慣をつける
コストの視点で考えるとき『時間単価』という概念を習慣的に意識しておくと便利です。
1時間あたり自分はいくら稼いでいるのかを把握することで「この仕事は割に合っているか」が判断できます。
副業初期は時間単価が低くなることがほとんどですが「今は経験を積む段階」と割り切って続けることも選択肢のひとつです。
ただし『安いから受ける』を繰り返すと、低単価が当たり前になってしまうという傾向があります。
コストの視点で決めた下限は、きちんと守るようにしましょう。
市場から考える

2つ目の視点は「市場」です。
同じようなサービスが市場でいくらで売られているかを調べることで、価格帯の目安が見えてきます。
相場を調べる方法
クラウドソーシングサイト(ランサーズ・クラウドワークスなど)で、自分と似たサービスの募集金額や提案金額を調べてみましょう。
SNSやnoteで同ジャンルの人がどんな価格でサービスを提供しているかも参考になります。
『高い人』と『安い人』の両方を見て、その差がどこから来ているかを観察してみましょう。
相場はあくまで参考値
相場を知ることは参考になりますが、相場に合わせることが正解というわけではありません。
相場の安い方に合わせると、価格競争に巻き込まれ、消耗する働き方につながります。
相場はあくまでも『市場がどのくらいの価格帯を受け入れているか』の参考値として捉えましょう。
価値から考える

3つ目の視点は「価値」です。
これが3つの中でもっとも本質的な考え方で、相手にとってどれだけの価値があるか?から価格を考えます。
相手が得られる「変化」で考える
たとえば、あなたが確定申告のサポートをするサービスを提供するとします。
相手が得られるのは、確定申告が終わるという事実だけではありません。
「何週間もの不安とストレスから解放される」「ミスによるペナルティのリスクがなくなる」という変化も含まれます。
この変化の大きさが、価値の大きさです。
コストや相場だけで考えると価格が低くなりがちですが、相手が得る変化を起点に考えると、それに見合った価格が見えてきます。
「誰に届けるか」で価値は変わる
同じサービスでも、届ける相手によって価値の大きさは変わります。
月収20万円の人にとっての1万円と、月収100万円の人にとっての1万円では、体感が違います。
また、今まさにその問題に困っている人にとっての価値は、そうでない人の何倍にもなります。
誰に届けるかを明確にすることで、適切な価格帯も見えてきます。
感性型の人が陥りやすい「自己卑下の罠」
繊細さや感性を強みにしている人は特に『自分の価値を低く見積もる』という傾向があります。
「こんなことでお金をもらっていいのか」「まだ実績がないのに高い値段はつけられない」という気持ちが先に立ってしまいます。
しかし、価値はあなたが決めるものではなく、受け取った相手が感じるものです。
あなたが「たいしたことない」と思っていることでも、相手にとっては大きな変化をもたらすことがあります。
『自分が思う価値』と『相手が感じる価値』は、多くの場合ズレています。
そのズレを知るためにも、まず提示してみることが必要です。
最初の価格はどう決めるか
3つの視点を整理したうえで、実際に最初の価格をどう決めるかをお伝えします。
コスト下限を確認する
まず視点①で計算した「最低限必要な金額」を確認します。
これを下回る価格は設定しない、という基準線です。
どんなに安くしたくても、この線は守りましょう。
相場の中間〜やや上に設定する
視点②で調べた相場の中から、「安すぎず、極端に高くもない」レンジを選びます。
実績がない時期は相場の中間あたりから始めて、経験を積むにつれて上げていくという進め方がスムーズです。
安すぎる価格設定は「安い=クオリティが低い」と受け取られるリスクもあります。
価値ベースで上限を考える
視点③を使って「相手が得る変化の大きさ」を考え、「この価格なら納得感があるか?」と自問してみましょう。
相手が「それだけ払う価値がある」と感じる上限を意識しておくことで、価格を上げる方向性も見えてきます。
最初の価格は仮決めでいい
価格は一度決めたら変えられないわけではありません。
モニター段階では割引価格で始め、実績やフィードバックを積み重ねながら適正価格に近づけていくという流れが、多くの場合うまくいきます。
「決められないから動けない」より、「仮で決めて動いてみる」方がずっと前に進みます。
価格を上げるタイミングの見極め方
仮の価格で始めたあと、どのタイミングで価格を上げればいいのかも迷いやすいポイントです。
目安となるサインをいくつか挙げてみます。
- 問い合わせが途切れない状態が続いている
- 「安すぎる」「もっと高くていい」と言われたことがある
- 断られることなく成約が続いている
- 提供スキルが上がり、以前より短時間で仕上げられるようになった
- 実績・口コミ・事例が積み上がってきた
これらのサインが出てきたら、価格を上げるタイミングです。
一気に大幅に上げるよりも、10〜20%ずつ段階的に上げていく方が、既存の顧客との関係も保ちやすくなります。
価格は「実績と自信が積み上がるにつれて上がっていくもの」と捉えると、焦らずに進められます。
価格設定に絶対の正解はありません。
ただ、「なんとなく安くした」ではなく、3つの視点で考えた根拠があれば、自信を持って提示できます。
あなたのサービスの価格、3つの視点で考えてみるとどんな数字が見えてきましたか?
この記事のポイント
- 価格設定が難しいのは、スキルの問題だけでなく自己評価の問題でもある
- 視点①「コスト」:時間コストとランニングコストから価格の下限を把握する
- 視点②「市場」:相場は参考値として使い、相場の安い方に合わせる価格競争には巻き込まれない
- 視点③「価値」:相手が得る「変化の大きさ」から考えると、適切な価格が見えてくる
- 最初の価格は仮決めでよく、実績を積みながら上げていくのがスムーズな進め方