開業届提出後は「届く通知」に戸惑う人が多い
開業届を提出した後、税務署からさまざまな書類が届き始めます。
突然封筒が届くと「何かしなければならないのか?」「これは何の書類?」と不安になる方も多いことと思います。
実際、これらの書類を正しく理解せずに放置してしまうと、手続き漏れや税金面での損失につながることもあります。
この記事では、開業後によく届く税務関係書類の見方と、受け取った後の適切な対応方法をわかりやすく解説します。
よく届く書類一覧
税務署から届く主な書類は以下のとおりです。
それぞれの書類の内容と対応すべきことを確認しましょう。
書類名 | 内容 | 対応すべきこと |
---|---|---|
青色申告承認通知書 | 青色申告が承認された証明 | 大切に保管(紛失防止) |
納税地の確認通知 | 管轄税務署からの確認書類 | 記載情報を確認 |
e-Tax関係書類 | 利用者識別番号など | 控えを保存(電子申告時に必要) |
源泉所得税の納付関係 | 源泉徴収義務に関する案内 | 対象者(人を雇う等)に該当しない場合は保留でOK |
消費税課税事業者届出書 | 消費税納税義務に関する書類 | 売上規模に応じて提出検討 |
予定納税の通知書 | 所得税の予定納税額案内 | 納付期限を確認し期日までに納付 |
青色申告承認通知書

青色申告承認通知書は、あなたが提出した「青色申告承認申請書」に基づき、税務署が青色申告を承認したことを示す重要な書類です。
この書類には以下の情報が記載されています。
- 承認された事業年度
- 適用開始年月日
- 納税地
- 整理番号
対応方法
この通知書は確定申告時に必要なわけではありませんが、青色申告が認められた証明として大切に保管しましょう。
スキャンやコピーを取っておくと安心です。
納税地の確認通知
管轄の税務署から送られてくる書類で、あなたの事業の納税地(住所)が正しいかを確認するためのものです。
対応方法
記載されている住所などの情報に誤りがないか確認してください。
誤りがある場合は、通知書に記載された連絡先に問い合わせましょう。
e-Tax関係書類
電子申告(e-Tax)のための利用者識別番号や暗証番号などが記載された書類です。
対応方法
電子申告をする予定がなくても、今後必要になる可能性があるため、安全な場所に保管しておきましょう。
特に利用者識別番号は重要です。
源泉所得税の納付関係
従業員を雇っている場合や、外注先に報酬を支払う場合に必要となる源泉徴収に関する書類です。
対応方法
従業員を雇っている場合や一定の外注支払いがある場合は内容を確認し、納付義務がある場合は期日までに納付します。
該当しない場合は保管しておけばOKです。
消費税課税事業者届出書
事業規模が拡大し、消費税の課税事業者となる可能性がある場合に届くことがあります。
対応方法
年間の課税売上高が1,000万円を超える見込みがある場合は、必要事項を記入して提出する必要があります。
不明点は税理士に相談するとよいでしょう。
予定納税の通知書
前年の所得が一定額を超えると、翌年は予定納税が必要になります。
その際に送られてくる納付書です。
対応方法
第1期(7月)と第2期(11月)の納付期限を確認し、期日までに納付します。
金額に不服がある場合は、減額申請も可能です。
書類別にやるべきこと【ケース別チェック】
「青色承認通知が来た」→ すぐ必要な手続きは?
基本的には特別な手続きは必要ありません。
通知書を受け取ったら、大切に保管しておくだけでOKです。
ただし、以下の点に注意しましょう。
- 複式簿記での帳簿付けが必要になるため、会計ソフトの設定を確認
- 青色申告特別控除(最大65万円)の要件を確認
- 電子申告・電子帳簿保存の要件も併せて確認するとベター
「e-Taxの利用案内」→ 使わない人も保存推奨
電子申告を予定していない方でも、以下の理由から保存をおすすめします。
- 将来的に電子申告が義務化される可能性がある
- 税理士に依頼する場合でも、利用者識別番号が必要になることがある
- 紛失した場合、再発行には時間がかかる
「納付書が来た」→ 納税対象者の条件チェック
納付書が届いた場合は、まず自分が納税対象者かどうかを確認しましょう。
- 源泉所得税の納付書:従業員への給与や外注への報酬支払いがある場合
- 予定納税の納付書:前年の所得税額が一定額を超えている場合
- 消費税の納付書:課税売上高が1,000万円を超えている場合
該当する場合は、納付期限を確認し、期日までに納付することが重要です。
不明点がある場合は、税務署に問い合わせるか、税理士に相談しましょう。
書類を管理する方法(実践アドバイス)
ファイル分け+ラベル整理術
税務署からの書類を効率的に管理するには、以下の方法がおすすめです。
- 専用のファイルを用意する
- A4サイズのクリアファイルや、バインダーを準備
- 「税務署関係」と明記したラベルを貼る
- カテゴリー別に分類する
- 「青色申告関係」「e-Tax関係」「納税関係」などセクションを分ける
- インデックスシールを活用すると見つけやすい
- 年度ごとに整理する
- 同じ種類の書類でも年度ごとに分けて保管
- 過去5年分は最低限保管(税務調査の対象期間)
届いたらまず「スキャン保存」+「クラウド管理」
紙の書類は紛失するリスクがあるため、デジタル保存も併用しましょう。
- スキャンアプリの活用
- スマホのスキャンアプリを使って即デジタル化
- ファイル名は「書類名_年月日」の形式で統一
- クラウドストレージへの保存
- Dropbox、Google Drive、OneDriveなどを活用
- フォルダ構造は紙と同じ分類で統一感を持たせる
- バックアップの作成
- 複数のクラウドサービスを利用するか、定期的にローカルにもバックアップ
- 特に重要な書類(青色申告承認通知書など)は複数箇所に保存
よくある質問

何もしていないのに税務署から届いたが問題?
税務署から書類が届くことは、基本的に問題ではありません。
開業届や青色申告承認申請書を提出すると、様々な関連書類が自動的に送られてくることがあります。
内容を確認し、必要な対応をすれば問題ありません。


自分に関係ない書類が来た気がするがどうすれば?
まずは書類の内容をよく確認しましょう。
不明な点があれば、書類に記載された税務署の連絡先に問い合わせることをおすすめします。
特に、源泉所得税や消費税に関する書類は、現時点では関係なくても将来的に必要になる可能性があるため、保管しておくとよいでしょう。


届いた書類の回答期限を過ぎてしまった場合はどうすれば?
できるだけ早く税務署に連絡し、状況を説明しましょう。
多くの場合、対応策を教えてもらえます。
特に納税関係の期限を過ぎると、延滞税が発生することがあるため注意が必要です。


税務署からの書類をなくしてしまった場合は?
紛失した書類の種類によって対応が異なります。
青色申告承認通知書やe-Tax関連書類などの重要書類を紛失した場合は、管轄の税務署に連絡して再発行の手続きを行いましょう。
ただし、再発行には時間がかかることがあるため、重要書類はスキャンやコピーを取っておくことをおすすめします。

届いたら焦らず確認・保管が基本
税務署から届く書類は、あなたの事業活動に関する重要な情報や手続きを含んでいます。
以下のポイントを押さえて、適切に対応してください。
- 書類は「記録の証」として大切な財産です
- 税務署から書類が来たからといって、何か間違っているわけではありません
- 基本的な心構えは「確認→保管→動く必要があれば対応」です
特に開業初年度は様々な書類が届くため、整理・保管の習慣をつけることが重要です。
不明点があれば、税務署や税理士に相談することをためらわないでください。
適切な書類管理は、スムーズな確定申告や税務調査への対応に大いに役立ちます。
税務関係の書類は事業を続ける限り継続的に関わるものです。
効率的な管理体制を構築し、安心して事業に集中できる環境を整えてくださいね。